オーストラリアの銀行
オーストラリアには約30の銀行がありますが、留学生やワーキングホリデーのほとんどの方々は以下の4大銀行のいずれかで口座を開いています。細かい違いはありますが、これらの銀行であれば小さな町でも支店やATMが存在しますので、語学学校があるような都市部では問題なくそのサービスを受けることができます。
オーストラリアの4大銀行(Big Four)
オーストラリアは高金利国?
銀行の預金金利やローンの利率は各銀行が決めていますが、オーストラリアの中央銀行である Reserve Bank of Australia(RBA: オーストラリア準備銀行)が決定する政策金利に大きく左右されます。
歴史的には、1990年には17.50%に達していた政策金利はその後下落し、およそ20年間で3%から7.5%の間を推移してきた金利は、2013年に3%を割り込み、2016年8月以降は過去最低の1.50%を維持しています。
銀行の金利もそれに伴い下がっていますので、かつてほどの高金利ではなくなっていますが、4大銀行の定期預金金利は、2.25~2.55%(1年もの、2017年1月現在)となっており、日本の銀行と比較すると10倍以上の利率となります。
オーストラリア政策金利の推移
口座の種類
オーストラリアは高金利国であることとカード先進国であることから、銀行サービスに対するニーズが日本とは若干異なります。それを踏まえて一般的な銀行口座の種類と特徴を以下に説明します。
普通預金口座 - Everyday Banking Account (Transaction Account)
オーストラリアでの生活を始める際に必要となるのは、日々のお金の出し入れに使われる普通預金口座ですが、オーストラリアでは Everyday Banking Account とか Transaction Account と呼ばれています。この口座を開設すると口座にリンクしたキャッシュカードが発行され、そのカードにはいろいろと便利な機能が付いています。オーストラリアはカード社会ですので、必然的にこの口座の利用頻度は非常に高くなります。
普通この口座には利息は付かず、通常は毎月$5程度の口座維持手数料がかかりますが、上に挙げた4大銀行は学生に対しては手数料$0とするなどの特典が設けられています(一定の条件を満たす必要があります 2016年3月現在)。
各銀行により呼び名は異なり、4大銀行の普通預金口座は現在(2017年1月)以下のような名前が付いています。
- Access Advantage(ANZ銀行)
- Smart Access(コモンウェルス銀行)
- Classic Banking(ナショナルオーストラリア銀行)
- Choice(Westpac銀行)
オーストラリアでは日本の銀行のような預金通帳は存在しません。各口座の利用履歴は毎月発行される明細(statement)で確認することができます。以前は明細は毎月郵送されてくるのが普通でしたが、現在ではペーパーレス化が進み、Eメールで送られてくるのが一般的になっています。また、オーストラリアではほとんどの人がインターネットバンキングを日常的に利用しており、口座の情報は明細を待たずにネットで確認するのが普通です。
オンライン預金口座 - Savings Account (Online Savings Account)
前述のとおり日本と違いオーストラリアは今でも高金利を維持しています。Everyday Banking Account には利息が付きませんので、日々の出し入れに必要な分以外は利息の付く口座に移せたら便利です。そのような目的で利用されるのが Savings Account とか Online Savings Account と呼ばれる口座です。Everyday Banking Account とリンクされ、口座維持手数料はかからず、最小預金額の制限もないのが一般的です。Savings Account というと一般的には普通預金口座のことを指しますが、最近では Everyday Banking Account と連携し利息が付くオンライン預金口座のことを指すようにもなりました。預金を引き出す際は、普通預金口座に移してから支店やATMで引き出します。
各銀行により呼び名は異なり、4大銀行のオンライン預金口座は現在(2017年1月)以下のような名前が付いています。
- Online Saver(ANZ銀行)
- NetBank Saver(コモンウェルス銀行)
- iSaver(ナショナルオーストラリア銀行)
- eSaver(Westpac銀行)
Everyday Banking Account と Savings Account 間のお金の移動は、インターネットバンキングで24時間即座に行うことができます。回数制限はありませんし、手数料もかかりません。カード利用頻度の多さと自由に出し入れ可能な高金利の口座の存在により、口座間のお金の移動頻度は非常に高くなります。これがオーストラリアでインターネットバンキングの利用率が高い大きな理由の一つと言えます。
積立口座
4大銀行のオンライン預金口座には積立式の口座もあります。内容は一般的なオンライン預金口座と一緒ですが、毎月ある一定額以上の入金があり引き出しが無ければ、より高い金利が付くような口座です。ただし、入金が無かったり、引き落としのあった月は利息がほとんど付かないといった制約もあります。この口座もEveryday Banking Account とリンクされ、口座維持手数料はかからず、最小預金額の制限もありません。
こちらの口座も各銀行により呼び名は異なり、4大銀行の積立口座は現在(2017年1月)以下のような名前が付いています。
- Progress Saver(ANZ銀行)
- Goal Saver(コモンウェルス銀行)
- Reward Saver(ナショナルオーストラリア銀行)
- Reward Saver(Westpac銀行)
ある程度の預金額がある方は、通常のオンライン預金口座と共にこちらの積立口座も開設しておくことをお勧めしますが、多くの口座を管理するのは煩わしいという方は、上の2つの口座だけ開設し、積立口座は必要に応じて後日開設しても良いでしょう。
定期預金口座 - Term Deposit
4大銀行の定期預金は、最低預金額が$5,000からで、期間は最短で1ヵ月のものから存在します。基本的には期間が長くなるほど利率は高くなりますが、キャンペーンなどで特定の期間の利息が高くなることもあります。
キャッシュカードの機能
キャッシュカードがあれば、銀行の支店に行かなくてもオーストラリア国内のいたるところにあるATMから引き出しが可能です。同じ銀行のATMであれば引き出しや残高確認などが無料で行えます。異なる銀行のATMからも引き出しは可能ですが、一般的に$2程度の手数料がチャージされます。オーストラリア国外でも銀行が提携しているATMからの引き出しができますが、その際も手数料がかかります。ATMからの引き出しには各銀行により限度額が設定されており、1日$1,000程度に設定されています(詳しくは各銀行の支店または公式サイトにご確認ください)。ATMは年中無休で、24時間利用することができます。
デビットカード機能
銀行のキャッシュカードにはデビットカード機能が付いています。使い方はクレジットカードと同様ですが、カード決済した際に、代金は即座にリンクした口座から引き落とされる仕組みです。
4大銀行のカードにもこの機能が付いており、ANZ銀行とNABのカードにはVISAデビット、コモンウェルス銀行とウエストパック銀行のカードにはデビットMasterCardの機能が付いています。
非接触IC決済
キャッシュカードには非接触決済の機能も付いています。VISAカードではペイウェーブ、MasterCardではペイパスと呼ばれる機能ですが、使い方は同じで、支払いの際にレジにあるカード決済用端末がコンタクトレス決済をサポートしていれば、そこにキャッシュカードをかざすだけで決済が完了します。
4大銀行のカードはいずれも$100未満の決済であれば、カードをかざすだけで決済することができ、それ以上の額であれば、カードをかざした後に暗証番号(PIN)の入力が必要となります。
タップアンドペイ(Tap & Pay)
非接触型決済に対応している携帯電話をお持ちであれば、タップ&ペイの機能も利用可能です。携帯電話でアプリをダウンロードし、デビット機能付きのキャッシュカードを登録すると、携帯電話でのコンタクトレス決済が可能となります。
eftpos
エフトポス(EFTPOS - Electronic Funds Transfer at Point of Sale)はアメリカ発祥のカード決済システムで、デビットカードに良く似ています。ATMからお金を引き出すような感覚で、キャッシュカードと暗証番号(PIN)を用いて、レジで支払いをすることができます。
オーストラリアの銀行のキャッシュカードには、30年ほど前からEFTPOSの機能が付いており、多くの人々に利用されてきました。カード払いを受け付けている店舗では、ほぼすべてEFTPOSでの支払いが可能です。
レジでの支払いの際にカードを出すと、「Cheque, savings or credit?」と聞かれることがありますが、「cheque」は、「cheque Account」、つまり当座預金口座のことで、おもに法人向けの口座です。個人がEFTPOSで支払いたい場合は、「savings」を選択します。クレジットカードやデビットカードを使いたい場合は、「credit」を選択します。また、レジによっては自分の口座からお金を引き出すことができる場合もあります。カードでの支払いで「savings」を選んだ際、「Any cash out?」と聞かれることがありますが、引き出したいときは、「Yes, 50 dollars please.」とか、「No, thank you.」などと答えます。
このEFTPOSの存在もオーストラリアのカード社会を支える一端を担ってきたと言えます。最近ではVisaデビットやデビットMasterCardの機能により、影が薄くなってきていますが、現在でもまだ現役で利用され続けています。
銀行口座開設
日本からオンラインで口座開設
4大銀行であれば、いずれも日本からオンラインで口座を開設することができます。出国前に口座開設をすることにより自分の口座に前もって送金しておけるので、余分な現金を持ち歩かなくても済みます。また、銀行によっては海外から口座開設をすると、1年間口座維持手数料が無料になるなどの特典を設けている場合もあります。海外から口座開設をした場合は入金のみしかできない状態で、現地支店にて本人確認の手続きが完了すると引き出しもできるようになります。
4大銀行それぞれの銀行の口座開設手順は以下のページをご確認ください。
- オーストラリア・ニュージーランド銀行 - ANZ Bank 口座開設手順
- コモンウェルス銀行 - Commonwealth Bank 口座開設手順
- ナショナルオーストラリア銀行 - National Australia Bank (NAB) 口座開設手順
- ウェストパック銀行 - Westpac Bank 口座開設手順
現地の支店で口座開設
オーストラリアの銀行口座を開設する場合、必ず本人確認書類が必要となります。留学生やワーキングホリデーなどの短期滞在者の場合は、入国後6週間以内であればパスポートのみで本人確認が可能です。入国後6週間を過ぎてしまうと、パスポート以外にも本人確認書類も必要となり非常に厄介ですので、早めに口座を開設することをお勧めします。
英語に自信のない場合は、ホストファミリーや語学学校で知り合った友達などに付き添ってもらって手続きを行うケースもあります。また、銀行によっては日本人の常勤する支店を持つところもあります。
現地の支店で口座開設をする場合、一般的に以下のような手続きが必要となります。所要時間はおよそ30~40分程度で、場合によっては予約が必要な場合もあります(手続きの内容は銀行によって若干異なります)。
- まずは新規で口座開設(open a new bank account)をしたい旨とビザの種類を伝えます。
- 本人確認書類の提出が求められます(入国後6週間以内であればパスポートのみで本人確認が可能)。
- 普通預金口座(Everyday banking account / transaction account)の説明をしてもらいます。その際に、口座維持手数料(Monthly account service fee)がかかるのかどうかも案内されます。
- オンライン預金口座や積立口座の開設を希望するかどうかを聞かれます。
- スーパーアニュエーション(Superannuation)口座を開くかどうかを聞かれることもあります。
- インターネットバンキングを利用するかどうかを聞かれます。
- インターネットバンキングのセキュリティーコードやセキュリティクエスチョンなどを設定し、インターネットバンキングの基本的な機能についても説明されます。
- 電話番号、メールアドレス、住所を登録します(後でインターネットバンキングで変更可能)。
- タックスファイルナンバーを持っている場合は口座に登録します(後でインターネットバンキングで登録可能)。
- キャッシュカードの送付先を決めます。1週間程度かかりますので、住所が不確かな場合は支店での受け取りをお勧めします。キャッシュカードが手元に届く前に引き出しが必要な場合は、パスポートを見せれば支店の窓口で引き出しができます。
4大銀行それぞれの銀行の口座開設については以下のページをご確認ください。
- オーストラリア・ニュージーランド銀行 - ANZ Bank 口座開設手順
- コモンウェルス銀行 - Commonwealth Bank 口座開設手順
- ナショナルオーストラリア銀行 - National Australia Bank (NAB) 口座開設手順
- ウェストパック銀行 - Westpac Bank 口座開設手順
銀行の営業時間
一般的な支店の営業時間は以下の通りです。
- 月~木曜日: 9:30am - 4:00pm
- 金曜日: 9:30am - 5:00pm
- 土、日、祝日:休業
支店によっては営業時間が若干異なります。土曜日、あるいは土日に営業している支店もあります。ATMは年中無休で24時間利用することができます。
各支店の営業時間はそれぞれの銀行の公式サイトに掲載されています。